コンゴウテンジクダイ
スズキ目テンジクダイ科
2021.10.28:投稿
【分布域】南日本の太平洋岸、伊豆諸島、屋久島、琉球列島。
【生息域】岩礁の根の側面や穴、サンゴ礁域のサンゴの下など暗目の場所を好んで群れている。
【特徴】体色は茶色~金色。眼の上下に青の蛍光色のラインが2本入る。吻にも同じ色のラインがある個体もいる。尾柄部に1黒色斑(円斑)がある。
【識別ポイント】酷似しているアオスジテンジクダイの尾柄部には黒色の帯があり、本種には黒色円斑があるのが明確な差。この2種は混泳していることが多く見られるが、識別は比較的容易。なお、本種の体色はこげ茶色に近く、アオスジテンジクダイは薄茶色とやや色が明るめであるとの指摘もある。
かつてはアオスジテンジクダイと同一種とされてきた本種コンゴウテンジクダイ。
鹿児島県薩摩半島西岸の笠沙町、大隅半島東岸の肝付町内之浦、大隅諸島の竹島と屋久島から採取された標本が精査された。その結果、それら標本はそれまでインド・西太平洋を分布域とし香港が分布の北限とされてきた種(Ostorhinchus fleurieu Lacepede,1802)と同定された。日本初記録種として日本動物分類学会誌に記載され新標準和名「コンゴウテンジクダイ」が提唱された。2015年のことである。
コンゴウテンジクダイの体型ががっちりしていることから”金剛力士像”のようだというのが和名の由来。
参考写真:2021.10.2 屋久島 一湊 ゼロ戦
上の写真の個体は”がっちりした体型”には見えないので、比較的”がっちり目”の個体の写真を選んだ。
データ詳細
撮影日
2020.10.17 #923
撮影ポイント
屋久島 一湊 ゼロ戦
使用機材
Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)
名前の由来である”金剛力士像”には似ても似つかぬ、スレンダーであどけないコンゴウテンジクダイ。
黒潮に乗って伊豆海洋公園に辿り着いた”季節来遊漁”のコンゴウテンジクダイ。
上に2015年に本種の和名が提唱されたと書いた。
この写真は2016年のもの。この時点では「新和名提唱」のニュースは手元へは届いておらず、この個体はアオスジテンジクダイだと思って撮った。
「コンゴウテンジクダイ」の名前はもちろんその存在すら未だ知らない時だった。
2019年に屋久島でコンゴウテンジクダイのことを初めて教えて貰った。
屋久島から帰京後それまで「アオスジテンジクダイ」として登録した写真を見直すと、この伊豆海洋公園で出会った”季節来遊漁”はコンゴウテンジクダイだったとその特徴から判明した。
思いもよらなかったが、コンゴウテンジクダイとの初めての出会いは屋久島ではなく、しかも名前を知る前の2016年・伊豆海洋公園だったということになる。
データ詳細
撮影日
2016.12.02 #608
撮影ポイント
伊豆海洋公園
使用機材
Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)
正面顔をコレクションしていることにこれまで何度か触れてきた。
コンゴウテンジクダイを狙っている中で偶々撮れた正面顔の1枚。おまけに頭部にⅤの字が。
今まではアマミスズメダイ・幼魚の「Ⅴの字」を執拗に狙ってきたが、思いがけずコンゴウテンジクダイも「Ⅴの字」の仲間だった。
甚だマニアックな世界ではあるが、私の喜びは一入で紹介させてもらうことにした。
データ詳細
撮影日
2021.10.02 #1049
撮影ポイント
屋久島 一湊 ゼロ戦
使用機材
Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)