スミツキソメワケベラ

スズキ目ベラ科ソメワケベラ属

2024.9.24:投稿



【分布域】小笠原諸島、沖ノ鳥島、奄美大島、慶良間諸島。
【生息域】外洋に面した潮通しの良いサンゴ礁外縁礁斜面やドロップオフ側面で見られる。がそれ以外では極めて稀。
【特徴】吻から眼を通り体側中央を経て尾鰭先端まで黒色のラインが伸びる。成魚ではこのラインは吻から体中央あたりまでは比較的細いラインで体後半から尾鰭先端までは太い帯になる。胸鰭付け根に大きな黒斑がある。吻の先が赤い。幼魚では眼の上を通る黄色いラインは尾鰭付根から青くなる。また、体側中央を通る黒色の帯は、体前半と後半で成魚ほど急激に太さが変わらず緩やかに太くなる。胸鰭付け根の黒色斑は余り目立たず黒円ではなくラインのように見える。






「スミツキソメワケベラ 幼魚」

日本の海で見られるソメワケベラ属には次のような4種がある。
ホンソメワケベラ
・クチベニソメワケベラ
・スミツキソメワケベラ(本種)
ソメワケベラ


小笠原諸島・父島で引率インストラクターのミカちゃんが呼びに来てくれた。
そして「これ、この魚!」とライトアップされた魚は、背面に紅がさすそれはそれは美しい魚だった。

そして、その魚は何処からどう見ても「ソメワケベラの仲間」だった。

自分の撮った写真と図鑑の情報を照らし合わせてみると、、、。
スミツキソメワケベラの特徴である胸鰭付け根の黒斑が撮影した個体には無い。
胸鰭付け根に黒斑が無いクチベニソメワケベラは、眼を通る黒いラインが体側中央で不明瞭になるはずだが、写真の個体は徐々に太くなりながら明瞭に尾鰭付根まで伸びている。



悩ましい!

ここは冷静に(笑)


まず、分布域的にクチベニソメワケベラは本来日本には生息していない極めて稀な種で、日本では南鳥島での観察例があるのみ。
一方、スミツキソメワケベラは「日本では小笠原諸島で見られるがそれ以外では極めて稀」「やや稀だが、小笠原諸島では比較的容易に見られる」との記述が各図鑑にある。

(だが、これだけでは決定打にはならない。。。)


残る疑問は。
分布域的にはスミツキソメワケベラの可能性が高いが、名前の由来でもある胸鰭付け根にあるはずの黒斑がないことはどう理解すればいいのか。。。



帰宅後、図鑑『ベラ&ブダイ』に掲載されているスミツキソメワケベラの項を確認した。
小笠原で出会った個体は、スミツキソメワケベラの”幼魚”の写真に酷似している。
”幼魚”の胸鰭付け根には黒斑というより黒色ラインがあり、体側中央黒帯の太さの変化の仕方などが、小笠原で出会った個体と同じだった。


スミツキソメワケベラ!

正直、海中で実際に見た方が写真より背面の紅色が遥かに鮮やかで美しかった!



参考写真:同じ時の同じ個体。

データ詳細

撮影日のアイコン

撮影日

2024.09.18 #1452

撮影ポイント

小笠原諸島 父島 北一つ岩

使用機材

Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)

コメント

※メールアドレスが公開されることはありません

CAPTCHA