ミズタマヤッコ

スズキ目キンチャクダイ科タテジマヤッコ属

2021.9.23:投稿



【分布域】小笠原諸島、南鳥島。
【生息域】水深40m以深の潮通しの良い岩礁斜面の中層に生息。
【特徴】雄の背鰭と尾鰭に黒色の水玉模様があり、体側には縦のラインが数本走っている。雄、雌、幼魚共に腹部は白色。雌は頭から背面にかけて黒色の不規則で極細の横縞が入る。幼魚は体側背側に黒っぽい石垣模様がある。





「ミズタマヤッコ」

本種は日本固有種。更に小笠原諸島近海でしか見られない地域限定種である。


ミズタマヤッコが最初に発見されたのは「南鳥島」
この「南鳥島」 行政区分では小笠原村に属しているが、小笠原諸島父島から東に1,000kmに位置している(日本の最東端) 東京と父島も同じ約1,000km 。 一般の観光客が訪れたり、ダイバーが普通に潜れる海ではない。

小笠原諸島は一度も陸続きになったことがないことで有名だが、海は繋がっているからだろうか。南鳥島で発見された後、小笠原諸島でもミズタマヤッコが発見された。しかし、他の地域で本種が発見されたという情報は今現在もないとのこと。
よってミズタマヤッコは「小笠原諸島の固有種」ということになる。稀種である。


「小笠原諸島の固有種」となれば、小笠原へ行く際には当然?ミズタマヤッコをリクエストに入れた。
現地ガイドの鉄也さんから本種の雌雄が生息するポイントがあるとの話を聞き、ワクワク・ドキドキ大いに期待は膨らんだ。

ところがそのミズタマヤッコがいるというポイントへ行く前に別のポイントで予期せぬ出会いがあった。
エントリーして5〜6分泳いだ頃、先を行く鉄也さんのリアクションが明らかにいつもと違っていた。
彼の視線の先には「ミズタマヤッコ」が居て、紛れもなく尾鰭に水玉模様があった。

千載一遇のチャンス。躊躇うことなくミズタマヤッコの居る水深に合わせて自分も降りて行った。後で確認すると水深は40mだった。余程のことがなければ降りない水深。やはりミズタマヤッコの生息水深は深い。



データ詳細

撮影日のアイコン

撮影日

2021.09.18 #1044

撮影ポイント

小笠原諸島 西島 タコ岩

使用機材

Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)

ミズタマヤッコ  雌→雄への途中

 

私が出会ったミズタマヤッコはこの個体のみ。この時1度だけ。
この個体の体側にあるのは不規則で途切れがちで波打っている縦縞。尾鰭や背鰭の水玉模様も何やら不完全。
完全な雄の縦縞は直線であり、水玉もしっかり丸い。

 

ミズタマヤッコは雄1匹に複数の雌でハーレムを形成する。
何かの理由で雄が居なくなった時、ハーレムの中で1番強い雌が雄に性転換する。

 

写真の個体は単体でいたが、雌から雄への性転換の途上と思われる。
不規則で波打って見える縦縞の奥には雌の名残のような横縞が見える。

 

幼魚にも雌にも水玉模様は無い。「ミズタマヤッコ」の名は、雄のみにある水玉模様からの命名である。

 

稀種であるミズタマヤッコに会うことができたのは本当に幸運だった。
バリバリの雄や雌、あわよくば幼魚にも会えることを願うのは欲張り過ぎか。。。。

 

参考写真:斜め正面からのミズタマヤッコ。

データ詳細

撮影日のアイコン

撮影日

2021.09.18 #1044

撮影ポイント

小笠原諸島 西島 タコ岩

使用機材

Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)

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