メギス
スズキ目メギス科
2021.5.3:投稿
メギスはメギス科の魚だが、この科の”看板娘”は何と言ってもクレナイニセスズメだと思う。
クレナイニセスズメも暗い場所が好きで臆病。ネクラと言えばネクラな魚だが、美しいのでレンズを向けるダイバーも結構いるようだ。しかし本種メギスを撮ろうという人はそう多くはないかもしれない。
メギスの分布域は和歌山県以南の南日本の太平洋岸、琉球列島。サンゴ礁域の浅場に生息する。
写真の個体は「メギスの雄」 雄の体色は赤味が強いが、雌の体色は頭から胸の上半身が緑色〜茶色。
図鑑に載っているメギスの写真と私が撮ったメギスはそっくり。瓜二つ。当たり前だと言えば当たり前だが。笑 ドンピシャ過ぎて嬉しかった。
HPを開設して、投稿を重ねながら強く感じていることがある。
写真を撮った場所や、その時のインストラクターが誰だったとか、そのシーンや自分の心の動きなどをありありと思い出すことができる。我ながら良く覚えているものだと感心する。笑
ところが、たまに私の”記憶”が別の記憶と置き換わっていることがある。
このメギスの写真がそれ。私の”記憶”ではパラオのドロップオフでダイビングの終盤、深度を上げて棚上へ上がる直前にメギスを見て「おっ!この色、柄は初めてだぞ」と思ってシャッターを切った。
ところが、写真のデータも、海の写真を管理しているエクセルのデータも「2014.5.2 奄美大島 倉崎ビーチ」となっている。そこには何の矛盾もない。私の”記憶”が間違っている。
十数年程前に、ある有能な女性の弁護士Kさんと話す機会があった。その中でKさんは「人は記憶を作るものです」と仰った。「自分の”記憶”として疑いもなく、現実とは違うことを具体的にこと細かく話したりもします」と。
意図して記憶と違う話をするのは”嘘”
しかし意図せず、真実と違った”記憶”を作ったり、別の事や別の時のものと置き換わった”記憶”を持ったり、時には願望が”記憶”に変貌したり、そんな可能性が十分にある。(人の記憶は、法的な観点からいうとそれを裏付ける物証がなければ「証拠」には成り難いらしい)
若い頃は自分の記憶力に(根拠のない)自信があって、話しの中で「絶対〜」と絶対を連発していた。今思うと恥ずかしい限り。年齢を重ねて記憶力は確かに衰えてきた。それに伴って、自信も無くなっては来たが。しかし、年齢に関係なく「人の記憶」の危うい側面を頭に置いて謙虚であらねばと思う。
「自分の記憶を過信するな」とメギスが教えてくれている。
データ詳細
撮影日
2014.05.02 #412
撮影ポイント
奄美大島 倉崎ビーチ
使用機材
Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)