ムナテンベラダマシ
スズキ目ベラ科ホンベラ属
2021.5.1:投稿
今日は「八十八夜」
”夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る あれに見えるは茶摘みじゃないか あかねだすきに菅の笠 ♫ ”
(ムナテンベラダマシと八十八夜には何も関連はない。。。)
魚には時折、「ダマシ」(騙し)とか「モドキ」(擬き)とか「ニセ」(偽)のような名前が付く。
これらが付かない「本家」もいれば、「本家」不在の場合もある。
どうなのだろう?
本人?いや本魚?にしてみれば「俺、騙してねぇし〜」「俺は俺だし〜」と感じているのではないか。。。笑
それは、さておき。
実はダマシが付かない「ムナテンベラ」を投稿しようと目論んだのだが。。。この魚、大人から若魚、幼魚と各ステージ其々に見た目の特徴(模様)が異なっている。私が撮影した写真のラインナップに、今現在納得していないので、自分にもう少し時間の猶予を与えてからと今回は断念した。
まるで本種を「ムナテンベラ」のピンチヒッターのような扱いをしてムナテンベラダマシは気を悪くするだろうか?しかし、”ピンチヒッター”は勝負強く、相手投手との相性抜群のこともあり、局面によって「代打の切り札」として重要な役割を担っていることもある。(今年3〜40年振りにプロ野球の戦況に興味を持っているので、、、つい、話が横道に。。) 実はムナテンベラダマシには強い愛着を持っている。
本種「ムナテンベラダマシ」の話題に戻りたい。
2018年、石垣島の海でいつも通り「新種(自分にとっての)ハンター」として周りをキョロキョロしながら泳いでいた。その時目に止まったのが本種ムナテンベラダマシ。一目見て「新種だっ!」と確信した。体の色合いなどは何の変哲も無い魚だが背鰭の前方に暗色斑がある。本種が属すホンベラ属には数種類同じような場所に斑を持つ種はあるものの、体の色と合わせて考えると初めて見る魚だと一瞬で判断できた。
宿へ帰って、図鑑を調べたら色形がドンピシャの魚が載っていた「ムナテンベラダマシ」だった。 こうした経緯で(自力で)種が増えた時は殊更嬉しい。(ピントが甘いのは残念だが)
しかも図鑑によると「日本では数が少なく、やや稀種」とある。「稀種」という文字を見て喜んだが、別の図鑑では「普通種」となっている。
成魚の分布域は屋久島、沖縄諸島以南の琉球列島。浅いサンゴ礁域が生息域。
成魚の特徴は、頭部が青色でそこからグラデーションで尾鰭へと黄色に変わって行く。「何の変哲も無い」と前述したが良く見たらなかなか美しい。背鰭の先端に青色と黒色の斑が交互に3〜4ある。腹鰭は白色。図鑑によると「雌雄の色彩はほぼ同じで体の大きさで判断するしかない」と書かれている。
データ詳細
撮影日
2018.11.24 #753
撮影ポイント
石垣島 大崎ミノカサゴ宮殿
使用機材
Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)
ムナテンベラダマシ 幼魚
幼魚は八丈島や和歌山県の串本にも分布する。
背鰭先端の青色と黒色の斑があるのは成魚と同じ。幼魚には背鰭後方に眼状斑がある。写真の個体は、眼状斑からほぼ黒色の斑点になっている。
暗色の4本の縦線があるのが最大の特徴だが、成魚に近づくにしたがって細く消えていく。腹鰭は透明だが前端は成魚と同じく白色。幼魚時代には、尾鰭付け根にも小さな黒点が1つある。頭部が青色っぽく、体の後方が黄色いところも成魚に近い。
この写真を撮った時は、形や模様からテンジクダイ系(ヤライイシモチ系)の幼魚かな?と思ったが、何か違和感を覚えたのでカメラに収めた。
自分が自分に警告を発する”違和感”は無視せず大切にした方が良いと私は思っている。後日調べたら、あの石垣島で撮った「ムナテンベラダマシ」の幼魚だったことが分かり、驚きと共に嬉しかった。
データ詳細
撮影日
2019.10.20 #837
撮影ポイント
瀬底島 ラビリンス北
使用機材
Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)