クロメバル
スズキ目メバル科
2021.2.25:投稿
日本の七十二候「雨水」の次候「霞始めて靆く」(かすみはじめてたなびく)
(新暦の2月24日から28日頃)
海へ向かう車窓から、遠く眺める山々に春霞が立ち込めて野山の情景も趣が変わり始める頃。伊豆では河津桜が華やかに春の訪れを寿いでいる。
春らしい生き物を投稿したいと候補の生物を探していると「メバル」のことを思い出した。
メバルは「春告げ魚」と呼ばれる。
(因みに「春告げ鳥」はウグイス・「春告げ草」は梅)
現在のアカメバル・クロメバル・シロメバルの合わせて3種類は、長く同一種「メバル」として扱われてきた。しかし、DNA解析の結果3種類に分類できると2008年日本魚類学会で発表され、現在はアカ・クロ・シロの3種のメバルに分けられた。また分類もカサゴ目「フサカサゴ科」からカサゴやアヤメカサゴ・トゴットメバル・ウスメバル・ムラソイなどと共に「メバル科」へ引っ越し?独立?した。
本種クロメバルの特徴は、背面に規則正しく並ぶ暗色斑があること。
生息域は沿岸の岩礁域。
分布域は岩手県、八丈島、相模湾〜高知県の太平洋沿岸。石川県〜長崎県の日本海・東シナ海沿岸。
メバルは漢字で「眼張」と書く。由来は大きな眼から。
データ詳細
撮影日
2015.01.30 #465
撮影ポイント
井田
使用機材
Olympus XZ-2
クロメバル 幼魚
実はメバルが3種類に分けられ其々に名前が付いていることを知って、私は密かにほくそ笑んでいた。それは、労せずして種類が増やせるからだ。
しかし、私の姑息な思いを嘲笑うかの如く難問が発生した。その原因がこの写真。
山渓社の「日本の海水魚」は「メバル」1種として扱われているので今回は参考にならない。ネイチャーウォッチング・ガイドブック「海水魚1000種」の記事や写真+イラストを頼りに、自分の「メバル」の写真がアカ・クロ・シロの内どれに該当するのか判別しようと試みた。最終的には胸鰭の軟条の数が15・16・17本何れであるかが決め手だが、この写真でそれを数えるのは不可能。
中でも上の写真の個体は、幾つかの特徴からおそらくクロメバルの幼魚だろうと目星を付けたものの確信が持てない。確信のないものを、ここに載せるわけにはいかない。
Facebookに「海の生き物」のことについて質問すると、専門家や研究者そしてダイビング関係者などが答えてくれるメンバー制のグループがある。
そこへ私のメバルの写真を投稿した。撮影地、水深、個体の大きさなどの情報も加えた。「海水魚1000種」の著者からのご意見、釣り人の観点からのご意見、魚類写真資料データベースから色彩の傾向によるご意見などを頂いた。
議論に紆余曲折はあったが、最終的には軟条をカウント出来る参考写真なども使って明確な解説を頂き、この写真の個体は「クロメバルの幼魚」だとの結論に至った。
また、この記事の1枚目の写真については全員がクロメバルとの意見で一致した。
私が「メバル」としてピックアップしていた写真は、結果アカメバルとクロメバルだった。過去の写真を探せばシロメバルの写真が有るかもしれないが、データを見返すより新たに海で撮影することを選択したいと思っている。
データ詳細
撮影日
2014.07.08 #431
撮影ポイント
大瀬崎 湾内
使用機材
Olympus XZ-1