キヌバリ

スズキ目ハゼ科キヌバリ属

2021.3.18:投稿


冬の間縮こまっていた心や体が、暖かな陽気に誘われ春の花々と共に、今ほころび始めている。


私は球根類が大好きで、秋の間に水仙やスノードロップ、チューリップ、ムスカリ、ヒヤシンスなどを庭の土の中に隠しておく。冬の間は”隠し事”が心にあることを愉しむ。時々球根達に会いに行って、水と声を掛ける。皆んな、手筈通り元気に密やかに出番を待っているようだ。うん、よしよし。


秋に仕込んだ手品のタネ明かしが、今次々と始まっている。チューリップの出番はもう少し先のようだ。

色彩の乏しかった庭が一気に黄色、白色、赤色、紫色、ピンク色と華やいでくる。えせ手品師は大満足である。



城ヶ島の梶が浜ビーチの海の中にも春が訪れていた。

浅海で陽の光がキラキラ届く明るい海、キヌバリの稚魚たちが数十尾で群れていた。
体は透明で、横帯もまだどこか頼りな気。奥の個体はその横帯すらまだ見えない。

春の風物詩の1行。

データ詳細

撮影日のアイコン

撮影日

2021.03.09 #964

撮影ポイント

城ヶ島 梶が浜ビーチ

使用機材

Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)

この1枚も上の稚魚と同じ日に撮ったもの。孵化したのが少し早かったのだろうか。随分と成長してはいるもののまだまだ”中学生”といったジェネレーションだろう。撮影したのは水深が3〜4m位だった。ちょっとしたオーバーハングで浮遊していた。

 

キヌバリの生息域は内湾の岩礁性海岸。藻場などの水深15m以浅。幼魚は群れを作る。

 

分布域は北海道南東から長崎県の日本海・東シナ海沿岸と本州の太平洋沿岸。
分布域によって体側の横帯の数が異なる。日本海型は尾鰭基底にある1本を加えて7本。写真の個体は太平洋型で6本。
温帯種。

 

キヌバリ属にはチャガラやニシキハゼが属している。

データ詳細

撮影日のアイコン

撮影日

2021.03.09 #964

撮影ポイント

城ヶ島 梶が浜ビーチ

使用機材

Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)

キヌバリ 成魚 太平洋型

 

2014年に撮った写真。こちら眼ピンが何やら怪しげ 涙
この時、初めて本種キヌバリに会った。それ故、私の殺気が激しかったのだと思う。逃げられて、追いかけて、かろうじて上から撮った。

 

体側の黒色横帯が黄色で縁取られている。幼魚の時もうっすらとあるが成魚になると黄色がより目立ってくる。

 

”キヌバリ”という名前、そこには面白い命名の由来の匂いがする。
漢字は「絹張」と書く。私は「絹針」かと思ったが見事にハズレ。

 

体側にある黒色の横帯が、布(絹)を洗い張りしている時の竹製の絹張(伸子)に見えたからだそうだ。
「洗い張り」私には懐かしい響きだ。私が幼稚園や小学生低学年の頃、家庭で「洗い張り」が行われていた。普通に日常の風景としてあった。

 

和服は糸を解くと1枚布になる。それを洗って、伸子(しんし)を張って干す。
単(ひとえ)は丸洗いにするが、袷(あわせ)は裏地と表地の伸縮度合いが異なるため丸洗いをしない。

 

昭和30年代前半の話。子供の頃の私は、こうした大人の仕事や生活の場面に出没しては興味深々で邪魔をしていたのだろ。

 

日本の魚類学者の田中茂穂はキヌバリについて、その著書の中で「餘り美しいからそのように命名せられた」と書いているそうだ。
マハタでも取り上げた「田中茂穂」に情報の中で又会うことが出来た。

データ詳細

撮影日のアイコン

撮影日

2014.09.13 #441

撮影ポイント

須崎 大浦

使用機材

Olympus XZ-1

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