ヨコスジフエダイ

スズキ目フエダイ科

2022.9.28:投稿



【分布域】新潟県~九州北岸・西岸の日本海・東シナ海沿岸、宮城県~九州南岸までの太平洋沿岸。
【生息域】浅い岩礁域。温帯種。
【特徴】体側には頭部から眼を通り体後方に至る黒色縦帯がある。その縦帯上の中央部辺りに黒色斑がある。




「悩みの種」

佐渡島の海の中で、本種を見て「おっ!見たことない魚。my新種ゲットー!」と喜んだ。

その時これが先々私の「悩みの種」となるとは想像だにしなかった。


(*因みに、私の「悩みの種」は佐渡島で発生したが、おつまみ「柿の種」の発祥の地も新潟県)


本種「ヨコスジフエダイ」は「タテフエダイ」とかなり似ていで紛らわしい。
ネットを検索しても、両種の違いについての記事が盛んに出てくる。

名前からすると「タテ」のものと「ヨコ」のものが何故似ているのか?
先ずそこが不可解である。

「そこ」については、両種とも体側に縦帯が走っているのだから「ヨコスジ」の方に問題がある。
魚は尾鰭を持って頭を下にした時の見え方で縦横を言い表すのが常識。この”常識”通りの呼び名で言えば「タテフエダイ」が正しい。
しかし、例えば魚をまな板の上に置いて普通に見ればこの帯は横帯(ヨコスジ)に見える。
魚界の”常識”と世間一般の”常識”が入り混じった命名が混乱の元凶である。

ヨコスジフエダイとタテフエダイの相違点は、タテフエダイには黒色縦帯上に黒色斑がないのに対して、ヨコスジフエダイには黒色縦帯上に黒斑があること。
ところが、このヨコスジフエダイの特徴であるはずの黒斑が、時に滲んで明瞭ではないこともあり、更には「稀に消えている」こともあるらしい。(影の声:特徴を滲ませたり、消したりするのは止めてくれ~)


上の写真の個体もこの黒斑が滲んでいるように見える。
図鑑『日本の海水魚』のヨコスジフエダイの写真の黒斑はどれも滲んで明瞭ではない。

更に両種の相違点として、縦帯の太さがあげられる。
ヨコスジフエダイのそれの方が明らかに太い。タテフエダイの縦帯は細い。帯というより線に近い。

そして、最終的な決定打は両種の分布域にある。
タテフエダイの分布域は三浦半島、和歌山県串本付近の太平洋沿岸、沖縄諸島以南の南西諸島。
一方、ヨコスジフエダイの分布域は新潟県から九州北岸・西岸までの日本海・東シナ海沿岸、宮城県から九州南岸までの太平洋沿岸。

この写真を撮ったのは、紛れもなく新潟県の佐渡島。
分布域を考えれば、悩むまでもなかった。。。

データ詳細

撮影日のアイコン

撮影日

2022.09.17 #1178

撮影ポイント

佐渡島 北小浦 漁礁

使用機材

Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ (M.60mm F2.8 Macro)

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